東西狂言の会 (Non)
2009・2・27
今年も楽しみにしていた東西狂言の会に行くことができた。
東京の和泉流、京都の大蔵流と狂言界を代表する二つの流派を同時に鑑賞できる贅沢な企画だ。大蔵流の茂山千作さんは90歳で人間国宝、和泉流の野村万作さんも同じく人間国宝、そして現在、多方面で活躍中、その端麗な容姿で人気のある野村萬斎さんも重要無形文化財総合指定者というすごい顔ぶれだ。
今回の演目は、「鬼瓦」「隠狸」そして「仁王」
「鬼瓦」長く在京していた大名が帰国することになり、感謝の意を込め、因幡薬師に参詣に出向く。お堂の様子を見て回りながらふと目にとまった鬼瓦を見て、大名はそれが誰かに似ている・・・と泣き出す。そう、国元に残してきた女房に生き写し。最後は「よしないことに落涙したわ」ともうすぐ会える幸せを思い国元に急ぐ。
90歳の千作さんが登場されたときは、足元、大丈夫かな・・・と心配したが、台詞を一言聞くと、圧倒されるような迫力で、この大名のユーモアのあるほのぼのとしたキャラクターが全身に溢れ出ていて狂言の世界に引き込まれてしまった。さすが・・・。
「隠狸」は和泉流独自の出し物だそうだ。太郎冠者に野村万作さん、主人は萬斎さん。主人に内緒で狸を捕まえて売っている太郎冠者がそっと様子を見に来た主人に酒を勧められ、最後に隠していた狸が見つかってしまうという話だが、なぞかけの舞「兎」など笑いを誘う絶妙な駆け引きがおもしろい狂言だ。前にせっかく萬斎さんを見に来たのにずっと面を被ったままという舞台があったが、今日は3チャンネルでお馴染みの表情豊かな彼の姿が見られ、大満足。万作さんは私が20代の頃、講演会でお目にかかったことがあったが、以後もずっと狂言の普及に努められ、今では海外にも進出、そのまじめな芸風が伝わってくる。
最後の「仁王」は負けつづけの博奕打が財産も尽き、知人の提案で仁王になりすまし、供え物を騙し取ろうとする話。大勢の参詣人が次々とやってきて願い事をするが・・・。
萬斎さんの解説にもあったが、どんな困難がやってきても、たくましくへこたれず生きていこうとする人々の姿が伝わってくるおもしろい狂言だ。大蔵流の台本では、アドリブが多く、参詣人の願い事は時世を現した様々な台詞が飛び出すのだとか。
どれも楽しい演目で、言葉もわかりやすく、もっと日常的に親しまれてもいい芸能なのでは・・・という気がする。不景気や暗いニュースが多い今こそ、もっと狂言の笑いで元気をもらってもいいのではないだろうか。
<にわか勉強>
◎狂言の語源は「偽り飾った言葉」という意味の「狂言綺語」から来ているらしい。14世紀ごろ現われた日本初の喜劇!猿楽から発生したが、歌舞の要素を取り入れたものが「能」になり、言葉遊びや語りを重視したのが「狂言」。
◎ 秀吉以来、武士の庇護のもとにあった猿楽(能・狂言)は江戸幕府が倒れるとともに庇護者を失い、役者は失業。明治政府は外国の要人に披露するため、サルは下品なので「能楽」と名前を改めたが、笑いは下品なので狂言は冷遇された。日の目を見たのは戦後。
◎ 「能」の主人公はほとんどが幽霊、能はすでに過ぎ去った人生を物語る。人間の本質や情念を描こうとするのに対し、狂言は「このあたりにすまいするものでござる」に象徴されるように、現実の世界のどこにでもありそうな事柄を題材とする。また、「能」はほぼ脚本どおりに演じられるのに対し、狂言はアドリブの要素が大。




































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